女性には難しい?! 大石内蔵助、弁慶からみる男のロマンと忠誠心

2015年11月吉例顔見世興行歌舞伎座。

市川海老蔵さんの長男、堀越勧玄君が初お目見えでも話題の夜の部だが、忠臣蔵や勧進帳などのいわゆる歌舞伎演目十八番が組まれている。

忠臣蔵の大石内蔵助は、片岡仁左衛門。勧進帳の武蔵坊弁慶は松本幸四郎と豪華な配役である。

大石内蔵助、武蔵坊弁慶と両者に共通しているのは、“忠誠心”。そして2人を敬い従う仲間たち。

あらすじと台詞で解説。こんな上司がいたら、私たちもきっとついて行きたくなる!?

 


 

『元禄忠臣蔵』

今からおよそ300年前、お江戸で仇討事件が起こる。場所は両国松坂町、回向院裏の吉良邸。

播州赤穂浅野家の浪士47人が吉良上野介の屋敷に討入り、その首級をあげたという話。

11月吉例顔見世興行では珍しく、8段目の幕府に討入りを報告する、仙石屋敷のみの公演。

   台詞

47人の浪士たちとの別れを惜しむ場面。仇討を終えた者たちに涙ながらに語る。

「病あるものは病を治し、傷あるものは傷を療し、

最後の1日まで心穏やかに過ごされるよう‥願っている。」

そして、自身は仇討ちの罪で切腹を決意している上で、息子に伝えた言葉。

「死ぬというは、大事じゃぞ。心ある者も…顛動するものだ。かねての父の教えを、忘れるなよ‥。」

内蔵助の思慮深さが滲み出る8段目の仙石屋敷である。

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https://ja.wikipedia.org


 

『勧進帳』

主君の源頼朝に疎まれ、都を追放された義経は部下の弁慶を伴って北陸の安宅まで逃げ延びる。

義経は荷物持ちに扮し、弁慶たちは山伏に変装して関所を通り抜けようとするが、富樫という関守に見破られる。

義経を守りたい一心で弁慶は白紙のお経(勧進帳)をアドリブで読み始め、本物の山伏だと思わせようとする。

義経一行と気がつくも、富樫は弁慶の心意気に免じて関所を通すことを許す。

   台詞

「やあれ しばらく おん待ち候へ。
これは由々しき(ゆゆしき)、おん大事にて候。
この関ひとつ 踏み破って越えたりとも
また行く先々の新関に、かかる沙汰のあるときは、
求めて事を破るの道理。
たやすく陸奥(みちのく)へは参りがたし。
それゆえにこそ、 袈裟(けさ)、兜巾(ときん)をのけられ、笈(おい)を、おん肩にまいらせて、
君(きみ)を強力(ごうりき)と仕立て候。
とにもかくにも それがしに、おんまかせあって、おんいたわしくは候へども、
おん傘を深々と召され、いかにも草臥れたる体(てい)にもてなし、
我々より後に引き下がって、おん通り候はば
なかなか人は思いもより申すまじ。
はるか後より、おん入りあろうずるにて候。」

富樫の関所を強行突破しようと荒ぶる仲間を抑え、義経の身をお護りする策を万全にする。

追われる身となった義経が、あまりにも不憫で不条理。

だからこそ、この一行は絶対に自分が守らなければならないと決心する弁慶。

そんな弁慶に義経は信頼を寄せ、リーダーとして全てを任せることとなる。

 

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男心は女性には難しい。

しかし忠臣蔵や勧進帳の両者から、目上を重んじ、絶対的なる忠誠心は美学ともいえ、輝かしく、観ているこちらも気持ちが良い。

清々しさをぜひ味わって頂きたい。

 

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Yui

Yui

図書館司書とシナリオライターの二つの顔を持つYUIです。 伝統芸能に精通しており、歌舞伎、邦楽、落語、着物の魅力を広めたいです。