時蔵・玉三郎・七之助の艶ずる 歌舞伎女方の美

初めて歌舞伎を観た日、「女方ってこんなに色気があるとは思わなかった …」と女性らしさに嫉妬した。

歌舞伎を初めて観た人の多くは、「女方の美」に魅了される。

女方の仕事を観ていると、男性の肉体でなければできない仕事と思う。

役によってはカツラから下駄までで約40キロという重さの衣装などを身にまとい、動きながら話すのは、スタミナが要求されるものだ。

そのハードさの中で「儚げな美」を観客に感じさせる。それが女方の役目。

女方は、以前は若手の役者が一人前になるまでの修行のようなところがあった。

しかし、現代では女方として活躍する役者が存在し、憧れの対象と女性のファンも多い。


 

■中村時蔵

天性の美貌と艶のある声、気品を備えた女方として、古典歌舞伎の王道をゆく。

『本朝廿四孝』の八重垣姫のような時代物の格調ある赤姫から、『鏡山』の尾上のような位と重みのある〈片はずし〉まで、古風な風姿によく似合う。

『嫗山姥(こもちやまんば)』の八重桐のような強いヒロインも、『源氏店』のお富のような粋な年増もできる。 

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■坂東玉三郎

いまや歌舞伎界を背負って立つ立女方である。

それとともに、歌舞伎の枠を超えて、世界の芸術家にまで大きな影響を与え、賞賛を得てきた。

若くしてニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招聘されて『鷺娘』を踊って絶賛されたのをはじめ、アンジェイ・ワイダやダニエル・シュミット、ヨーヨー・マなど世界の超一流の芸術家たちと多彩なコラボレーションを展開し、国際的に活躍。

映画監督としても独自の映像美を創造してきた。

歌舞伎では『壇浦兜軍記』の阿古屋や『籠釣瓶花街酔醒』の八ッ橋、『伽羅先代萩』の政岡など、かつて六代目中村歌右衛門が演じた数々の大役を継承し、新しい境地を構築している。

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■中村七之助

ほっそりとした容姿と、やや寂しげな美しい風情が魅力の若女方。

若衆役もよく似合う。

鼻が高くキリッとした素顔は、そのままで二枚目もいける。

『義経千本桜』の小金吾でむなしく討ち死にする若衆の哀れを演じたのが印象に残る。

『鏡獅子』で気迫のこもった踊りを見せたかと思えば、『御所五郎蔵』ではすっきりとした男伊達の五郎蔵をみごとに演じ、大きな可能性を感じさせた。

最近は女方が多くなってきた。

今後の活躍が楽しみな花形の一人。

2015年赤坂歌舞伎。

『お染の七役』は、坂東玉三郎から「毎日稽古をして、台詞の出し方から1から教わった」。

「玉三郎さまに習ったとおり、自信を持ってやろうと思います」とのコメントをしていた。

先輩から指導を受け、女方に更なる磨きをかけている。

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Yui

Yui

図書館司書とシナリオライターの二つの顔を持つYUIです。 伝統芸能に精通しており、歌舞伎、邦楽、落語、着物の魅力を広めたいです。