「命がけで臨んだ」 『ラスト・ナイツ』の紀里谷監督がファンに語りかけた想いとは

CGを駆使した独創性溢れる映像美で『CASSHERN』『GOEMON』等ヒット作を手がけてきた紀里谷和明監督が先の10月24日、Apple Store Ginzaで開催されたトークショーに登壇。

いよいよ、公開を目前に控えたハリウッドデビュー作『ラスト・ナイツ』の制作秘話、そしてその熱い生き様を、駆け付けたファン達の前で語り尽くしました。

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「さて、どんな話が聞きたいですか?」

開口一番、監督からファン達に向けた逆質問。

最新作のPRかと思いきや、プライベートのことでも、はたまた悩み相談でも良いと言う。

「紋切り型の質疑応答なら意味が無い、ファンにも本当に聞きたいことをぶつけて欲しいし、僕もあなた達と本気で向き合います」

そう想いを語ることにより、来場者の緊張を解いていた。

 

映画監督までに至ったこれまでの遍歴も披露。

「キャリアのスタートこそ写真ではあったが、カメラに拘っているわけでなく、ただ“イメージ”を作りたかった」とのこと。

続いてプロモーションビデオ、5分の枠の中でのフィールドで紀里谷ブランドを確立。

「さらに尺を伸ばすと次はもう映画しか残っていなかった」、と。

映画界での活躍は読者も御存知の通り。

『CASSHERN』、『GOEMON』とお得意のCGと実写の画期的な融合で独自の世界観を確立するも、「CGに関しても拘っていたわけではなく、国内での予算で理想のイメージを表現するにはCGしかなかった。

今回初めてオールロケで撮影出来たので、“CG好き”監督の印象を拭出来る機会かも」、とニヤリ。

また「それはハリウッドに関しても同様、よく誤解されているが、ハリウッドに憧れや目標を持っていたわけではなく、作りたいイメージを作らせてもらえる環境がそこだっただけ」、と明言していた。

 

 「何もかも一人で出来、全てを自分のコントロール下で製作してきたCGの現場から、大人数が関わることに抵抗は無かったか?」との質問には、「器が徐々に大きくなってゆくに従い関わる人間が多くなっていったが、そこで自分自身にも緩やかな変化が起きた。

初めてPV制作の現場で出逢ったチームが優秀だったから人と仕事をすることが好きになったし、(トップダウンの監督が多い中)僕は仲間とディスカッションするのが好きだということに気付いた」と答えていた。

「メンバーだけでなく制作現場においても同じことで、映画を撮るようになってからは“神様が監督なんじゃないか?”と思うほど、天候に左右された。

しかし思い通りにいかなくても、終わってみたらそれで良かったと思えるようになった」と個人主義、完璧主義から考え方が変わったそう。

「こと日本においては議論=対立の構図に捉えがちだが、むしろ監督は自分と逆の立場である相手の意見が知りたいし、向き合いたい。

映画や役者に対してももちろん、評論家や今ここに集まってくれた来場者一人一人とも。」と語る監督に呼応するように徐々にファン達からも質問が挙がるように。

その中でもCOLORS*編集部が、是非とも読者にも聞いてもらいたい2つを紹介する。

 

Q 中学時代に渡米したきっかけ

「一人一人の個性の芽を摘むような日本の学校の体制に疑問を感じた。

その事を作文に書いたら、さらにそれを書き直せと言われた、それでもうこれは駄目だと。

東京に行った程度じゃ変わらない、自由の街NYに行かなきゃ、と。

当時は若かったですからね。

でも渡米したらアメリカも、この世界も体制、システムにがんじがらめになっているんだと気付いた。

だからあの頃から今も、ずっと僕は既得権益との戦いなんです。

そして、(こんな呼び名は自分でも好きじゃないけれど、と前置きをしてから)芸術家をしている以上、自由とは何なのかを提案し続けていかなくてはならないとも思っています」

 

Q これまでの大きな決断の度、下してきた判断基準は?

「決断は大きく分けて2つのタイプがありますよね。

メリットデメリットや成功率、それらを計算する理性的な判断。

やりたいやりたくないか、好きか嫌いかの単純な衝動的な判断。

僕は子供の頃から今もずっと後者に忠実だった。

その理由は分かりませんが、親にももっと賢く生きろと注意されるし、今でも嫌いな人が居ると会食中であっても途中で帰っちゃう(笑)

全く考えないわけではないですよ、衝動的に始まり、やってから、理性を張り巡らせ考える。

自分でも馬鹿だと思うんですが、バランスばかりを考え、上手く生き過ぎると自分の魂が死んじゃう気がするんです。

これまで皆さんは僕がトントン拍子に来たように見えるかも知れないけれど、仕事を貰う時も、資金調達の時も、凄まじいまでに奔放した。

“待っていても何も起きない”ということです」

何も疑うことなくただ従うこと、諦めることに疑問を持たせてくれ、また夢を追う、あるいは変革を求めつつも二の足を踏んでいる読者には突き刺さる言葉ではないだろうか?

 

紀里谷監督は最後に、「僕は男性だし、実際の子も持たないが、映画は我が子、痛みを伴い、命がけで産んだ。

そして原案は日本で生まれた忠臣蔵、全世界でこの日本がトリの公開国であることも含め、どうか一人でも多くの方々に観て頂きたい。」と締めくくった。

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来場客一人一人と丁寧に向き合い、真摯に質問に応えていた監督が印象深く、

また国内とハリウッド、CGと実写・・・、そういった凝り固まった考えをボーダーレスという答えで解消してくれた懐の深さが伺えました。

国境を超え、日本古来の誇り高い精神が今、現代に舞い戻ります。

公開は11月14日(土)、是非映画館に足をお運び下さい!

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関連リンク

映画『ラスト・ナイツ』公式サイト:http://lastknights.jp

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