『傾く者たち 坂東彌風』ヨーロッパ滞在記

 

2016/5/8~5/25「やごの会欧州歌舞伎公演」が行われました。colors*『傾く者たち』第3弾 歌舞伎俳優 坂東彌風さんの特集3回目は、ヨーロッパ公演のお話はもちろん、滞在中の美術鑑賞なども交え、沢山お聞きしました。

 


 

 

「 Bouenos dios! 」こんにちわ!
「 Como estas? 」ご機嫌いかですか?
「 Me llamo 」 坂東彌風!
5/8~5/25の約2週間、パリ、ジュネーブ、マドリードと、いつぞやのCM ではありませんが、歌舞伎公演3都物語に行ってきました!

 

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どの国々も素晴らしく、甲乙付け難いですが、自分の肌に合ったのは、やはり兼ねてから憧れていたスペインでした。スペインは一歩足を踏み入れた瞬間からラテンの空気でした。そこいらに生い茂る草でさえ、陽気で愉快な顔をしているのです。なるほど、ピカソを生んだ国だなと。

 

IMG_1512ピカソ「読書する女」

 

やはり、人間の気質や文化はその土地の気候、風土に密接に関わっているのだと納得させられました。
歌舞伎もそうです。日本だからこそ生まれてきた。当たり前ですが大事な事です。

 

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余談ですが、皆とほぼ同じ行動をしていたのに、僕だけ、海で泳いだように真っ黒け。それは、あなたの紫外線吸収率がたかいからでしょう?
そうともいいますが、僕が誰よりもその国の文化を吸収しようとしたからです!(笑)こんな風に考える私は間違いなくラテン系の血が流れているのでしょう。

 

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近年では、歌舞伎の海外公演は増えてきました。これからもっと増えていくのではないかと思います。僕は海外公演に縁があって、入門したその年に海外公演、それから今回で4回目です。

なんですって?その醤油顔で、良くそんなことが言えるな? 残念ですが、そういうツッコミは受け付けておりません!そんなこと言うのはよしにしてくだサラマンカ!

はい、マドリードから北西に三時間、『サラマンカ』でも公演をしてきました。ここが素晴らしい!
ヨーロッパでボローニャ大学に次いで2番目に古い、800年の歴史を誇るサマランカ大学で一日公演しました。

 

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歌舞伎400年の歴史の2倍ですよ!
800年の歴史をそのままに留めた、時計の止まった町、品格、自然との調和、そして歴史。腑に落ちる何かがありました。歌舞伎と出会ったときも同じことを感じました。理由ではなく、腑に落ちるのです。

Cool Japanは、世界で空前のブームですが、歌舞伎も芸術ならば、説明がなくても、外国の方に伝わって当然と思いがちですが、そうではありません。

僕はたまに、外国からきた舞台や、ワークショップを観に行きます。
表現方法の解説や、感情のニュアンスが伝わりやすいイヤホンガイドがあると格段に理解が深まります。
あと、それが良い作品であることと、良い演技者であることです。

良いものには、理屈抜きにひきつけられます!
お芝居なら、まずはイヤホンガイド!なるべく、その国でメジャーな台詞を例えにして引用する(シェイクスピアとか)、そのほうが単に直訳するよりも、微妙なニュアンスが伝わりやすいです。微妙なニュアンスこそ、文化において、もっとも小さくて、もっとも大きな、違いだと僕は思います。

 

IMG_1514レマン湖のほとりの銅像

 

他には、台詞の一部をその国の言葉でしゃべる、場面によりますが、小道具をその国のものをつかってみたり、演出として、その国の文化を取り込むのも面白い手だと思います。そうすることで、お互いの共通点と、相違点が浮き彫りになるからです。

日本料理でも、素材はもちろん大事ですが、日本でとれたものでなければ、日本料理にならないならば、文化は伝わらないでしょう。
その国にあるもので、日本料理とは何か?日本料理の肝とは何か?ということです。歌舞伎も同じですね!

スペインでみた、フラメンコの踊りは、とても日本舞踊に似ているなと思いました!歌舞伎の口伝に、『動中の静、静中の動』というのがあります。
激しく動いているときは、心中は静で、なにもしてないときほど、心中は激しく動いている。フラメンコの激しい踊りと足拍子の裏側に、大地から沸き上がる魂や、深い情念が揺らめいて見え、強く惹き付けられました。

肉体表現とは、強大な筋肉によって発揮する力ではなく、最小限の無駄のない筋肉で、最大の効果を生み出す身体運用法だと思います。
そこに、『間』や、『呼吸』を自在に操る。

これが日本の身体表現の肝のような気がします。
歳や経験を重ねるほどに、渋味の増すワインで、これを恐らく『芸』と呼ぶのでしょう。僕はものを見る時に、何かと比較したり、ジャッジしないように気を付けています。その奥に隠された美を発見することができないからです。

やはり、歌舞伎を海外に持って行くのは、本当に面白い事だと思います。
化粧、衣裳、かつら、演技方法が独特で、本当に興味を持ってくれます。

そして、僕らも、足を運ぶことで、その国の文化の本質に触れる。こんな素晴らしいことはないです。そして、文化の交流を通して、世界が理解し合えるようになったらいいなと思います。お前はジョン・レノンか?
Non ,レノンです(笑)

しかし、マイケル・ジャクソンも、チャップリンも、そう思っていたと思います。その精神が脈々と受け継がれていく。

とまあ、色々と書いてきましたが、こんな偉そうなことを言える役者では到底ありませんが、そういう気持ちで舞台に立たせていただき、日々精進したいと思います。

皆さま、いつか、どこかの舞台で、「 Hasta manana! 」また会いましょう!

 

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以前のピカソについてのお話が興味深かったため、「ヨーロッパ公演中に訪れた美術館でピカソの他に興味を持った作品はありましたか?」と質問をすると、「ダリも素晴らしかったです」と彌風さん。最後に彌風さんおススメのダリ作品を1つご紹介します。

 

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「窓辺の少女」は、1925年にサルバドール・ダリによって制作された油彩作品。

モデルは妹のアナ・マリアで、カダケスにあったダリ家の休暇用の家の窓辺にもたれかかり、なにか物思いにふけっている姿を表している。ダリとマリアは長い間、特に母が死去してから非常に親密な関係にあり、ダリは妹に母親代わりの要求をしていた。アナ・マリアはダリにとって、ガラが1929年に現れるまでの唯一の女性モデルだった。

開かれた窓にもたれかかる主題は、西洋美術史において頻繁に描かれている。窓越しに見える風景は、額に入れられた絵画を表すもので、窓辺に配置される人物は絵を見ている人物のことを表している。

この絵が描かれたころは、妹とは仲がよかった。しかし、ダリの自伝「我が秘められた生涯」の内容に対する批判本「妹から見たダリ」をアナ・マリアが出版してから、兄妹関係は悪化。ダリが「窓辺の少女」をもとにして描いた妹への復讐作品が「みずからの純潔に獣姦される若い処女」である。

引用文献 http://www.ggccaatt.net

 

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Yui

Yui

図書館司書とシナリオライターの二つの顔を持つYUIです。 伝統芸能に精通しており、歌舞伎、邦楽、落語、着物の魅力を広めたいです。